少し前に大流行したティーカッププードルと豆柴。
私の愛犬はプードルではありませんが、小さいのでよく「ティーカップですか?」と聞かれます。
もちろん「いいえ違います。」と答えていますが、この「ティーカップ」そして「豆柴」とはいったいなんでしょう。
ティーカッププードル・豆柴という犬種はいません
JKC(ジャパンケネルクラブ)には、「ティーカッププードル」「豆柴」という犬種は登録されていません。
ちなみに勘違いされている方も多いのですが、AKC(アメリカンケネルクラブ)にも認可されていません。
「ティーカッププードル」として販売されている子犬の血統書は「トイプードル」、「豆柴」として販売されている子犬は「柴犬」で発行されています。
トイプードル、柴犬の中でも特別小さい子犬を「ティーカッププードル」「豆柴」として販売しています。
つまり、ペットショップやブリーダーが独自の基準でサイズを定義し、名乗っているということになります。
この2種を、犬種だと思っていた方も多いのではないでしょうか?中には、販売時のサイズのまま成犬になると思っている方もいらっしゃいました・・・。
ティーカッププードル・豆柴のトラブル
トリマーとしてお仕事をしていると、当然犬関係のトラブルをよく耳にします。
そのなかでもとても多いのが、ティーカッププードルと豆柴のお話です。
予想外に大きくなった
小さいままだと言われたのに、予想を超えるサイズに成長してしまったというもの。
「成犬時予想〇〇kg!!」なんて販売されているのを見かけますが、生後1か月や2か月の頃の体重で成犬時の体重を予想することはとても難しいです。
人間の場合でも、幼児の頃から大人になった時の身長や体重を予想することはできないですよね。
もちろん両親が小さかったり、体の小さな家系の子であればおおよそのサイズがわかることもあります。
しかし、兄弟の中でも1頭だけとても大きくなったり、反対に小さく育ったり・・・。完璧な予想をすることは不可能だと思います。
昔、8キロのトイプードルを連れた方が「この子、ティーカッププードルだったはずなんです。」と言っていたことがあります。
だいたいの場合がたまたま未熟児で生まれた子なので、その後順調に育てば標準的なサイズまで成長します。その子はちょっと大きすぎですが・・・。
写真と違う子だった
ペットショップのホームページなどでひとめぼれした子が、実物を見たら全然違う子だったということもあります。
ぬいぐるみのように可愛い写真を載せているお店さんは、かなりの確率で写真を加工しています。お目目大きく、お鼻は短く・・・。
それだけならまだしも、写真は別の子ということまであります。
プードルの場合は色の濃い子が好まれますので、色味の綺麗な子が使われていたりします。
体重計に乗せた写真なども、体の小さい子の可能性があります。
実はMIXだった・・・
体を小さくするために小さな犬種を掛け合わせている可能性があります。
飼い主様は気が付かなくても、トリマーや獣医師などが見ると明らかに別の犬種(主にチワワやヨーキーです)が入っていることがわかります。
「うちの子は血統書があるから大丈夫!」という方もいるかもしれませんが、実は血統書はあまり信用できません。ブリーダーの自己申告により発行されているため、血統書の情報が100%正しいとは言い切れません。
飼い主様と愛犬が幸せなのであれば、それで良いのかもしれません。
しかし、だからと言って人をだまして犬を売りつけるというのは、許される行為ではありません。
体重コントロールで体の弱い子に
最も身体が成長する子犬の時期に、無理な食事制限をして販売されていることがあります。
あまり知識がない方の場合は、体重を目安にしていることがありますので、「この子は〇〇gしかないので小さいですよ」と言われて騙されてしまうことがあります。気を付けてください。
十分な栄養を摂れずに成長した子犬は、当然ですが発育不良で体が弱くなります。骨や関節、筋肉が上手く発達しないだけでなく、内臓疾患を抱える場合があります。
犬に大きな負担がかかっています
生まれたばかりの子犬は、数百グラムしかありません。なるべく小さい頃に体重を計り販売したいため、早期に母犬から離されているということが多くあります。
発育にも悪影響を及ぼしますし、社会科不足にもなります。
また、飼い主様がお迎えしてからも問題は続きます。
ペットショップから食事量の指導(フードは〇〇gしかあげないでください、など)があり、それを忠実に守り子犬が低血糖を起こし入院。これまで2回ほどそんなお話を聞きました。
犬のプロから指導されれば、飼い主様は信じてその通りに行動します。その結果飼い主様も愛犬も悲しい思いをしてしまうのです。
そして小さい犬が欲しかった飼い主様は、どうしても体重が気になりすぎてしまい、自己判断で食事量を減らしてしまったりする方もいらっしゃいます。
なぜ体重にこだわりすぎてしまうのか?
それは「ティーカッププードル」や「豆柴」が、「サイズの小さな犬種」で「大きくならないのが当たり前」と誤った認識をしてしまっているからなのです。
くり返しになりますが、「ティーカッププードル」や「豆柴」犬種ではありません。
まとめ:信頼できるところから子犬を迎えましょう
私は、子犬を選ぶ際には成犬時の体重もとても大事だと思っています。住宅事情や先住犬との体格差、好みもあると思います。
3kgの犬と8kgの犬とでは、当然飼育する上での金銭的な差も出てきます。飼い主様の年齢などによっては運動量の違いも大きな問題となるでしょう。
一緒に電車に乗っておでかけしたい、先代の子のお洋服を着せてあげたいなど、愛犬との理想の生活を描いている方も多いと思いますので、小さい犬を迎えたいと思うことは決して間違った考えではないと思っています。
そんな時、悪質なペットショップ・ブリーダーに騙されないように気を付けてください。
「ティーカッププードル」「豆柴」と飼い主様を勘違いさせるようなことを言う業者は基本的には信用できません。
しっかりとしたブリーディングをしている、経験豊富なブリーダーさんのところで相談されるのが良いかと思います。
犬との生活をきちんと計画することは大切です。「想定外の大きさになってしまった!」は避けたいですね。
しかし、どんなサイズに成長しても結局可愛い愛犬に変わりないはずですので、あまり神経質にならず、あたたかい目で成長を見守ってあげてくださいね。