私の経営するトリミングサロンは若いお客様が圧倒的に多く、その大半が同棲カップルです。
もちろん皆さんとても愛情をたっぷり注いでくれていますし、愛犬も幸せそうです。
しかし、トラブルも多いと感じます。
今回の記事は、これから犬を飼おうとしている同棲カップルさんにお願いしたいことのお話です。
カップルで犬を飼うことは悪いことではありません
まずはじめに、私はカップルで犬を飼うことを反対するつもりはありません。
3人で川の字で寝たり、休日にはお散歩デートしたり…犬を飼ったらきっと同棲生活も100倍楽しくなります。それは確実です。
一緒にペットショップに行って犬を選んで、可愛い名前を付けて、我が子のように可愛いはずです。
カップルで犬を飼う方の理由の大半はこの「疑似親子」、「家族ごっこ」がしたいからなのではないかなと思います。
ちょっと言葉が悪くなってしまいましたが、2人の子供のように育てるのです。
もちろん全然悪いことではないと思います、大切に育てることに越したことはありませんので。
でも…未来のこと、考えていますか?
15年先の未来まで考えていますか?
犬の寿命はだいたい15年。
25歳の方が飼い始めれば、その子はあなたが40歳になるまで一緒にいることになります。
30歳の方であれば45歳になった時、愛犬の介護をしている姿が想像できますか?
なかなか15年先のことまで計画するって難しいと思うのです。
その間、転勤したり引っ越ししたり、結婚したり出産したり…様々なライフイベントが待ち受けています。
引っ越しの時、ペット可の住宅を探せますか
ペット可の物件、なかなか見つからない上に基本的には他の物件より家賃が高いです。
2万3万の差でも、ちりも積もれば。
急いで引っ越しをしなければならなくなった時、家探しの条件が一つ増えたことで手こずる方も多いです。
子供ができた時、きちんと両方のお世話ができますか
お2人が結婚しても、犬との生活は大きくは変わりません。
しかし、ライフスタイルがガラッと変わるのは子供ができてから。
私は子供がいないのでどのくらい大変なのかは分かりませんが…子育て時期って多分人生で一番忙しくてしんどくて大変なんだと思います。
実際に私の周りの犬友は、出産・育児期は犬を実家に預けているパターンもあります。
預ける先があればそれでも良いと思うのですが、中には、子供が生まれたからケージに入れっぱなしになってしまったり、最悪里子に出してしまったり。
あんなに可愛かったはずの愛犬が、可愛く見えなくなってしまうというお話も聞きます。(母親の本能なんでしょうか?)
旦那さんもなかなか育児にすら参加できないのですから、犬のことはどんどん後まわしになってしまいます。
もちろん、赤ちゃんと犬どちらも上手に育てていらっしゃる方も沢山います。
生まれた頃から犬がいて、一緒に育っていくなんて素敵ですよね。
子供のアレルギーはよくあるパターン
赤ちゃんが生まれて、犬との生活も上手に送れて…順調だったはずなのにある日突然我が子が犬アレルギーに!
悲しいですがあるあるです。
アレルギーは命に関わることもありますので、早急に対処しなければいけない問題です。
将来的に、「最後まで責任を持って飼い続けます!」という強い意志だけでは乗り越えられない問題が出てくる場合もあるのです。
もしもの時に愛犬の世話をお願いできる人を見つけておいてください
「どんなことがあっても」「何が何でも」最後まで面倒を見る。
本当はそれが1番ですが、どうしてもできないこともあるかもしれません。
15年先まできっちりと計画を立てることができる人なんていませんし、自分ではどうにもできない問題だってあります。
そんな時にお世話をお願いできる人がいると安心です。
できれば犬を飼う前にそういった人を見つけておいて欲しいと思います。
必ず「誰の」犬なのかハッキリさせておいてください
私が1番言いたいことは、これなんです。
彼氏の犬なのか、彼女の犬なのか。
ふわっと「一緒に」飼う。これだけはやめてください。
金銭的な問題で揉めるから
生体代金は折半したとしても、その後かかる経費はどうでしょう?
犬って意外とお金がかかります。
「向こうが飼いたいって言いだしたのに、こちらばかりお金を払っている。」
「あれ、2人で飼った犬なのに私ばかりがお世話をしてる。」
いくら我が子のように可愛がっていても、不満を感じることもあるでしょう。
役割分担が上手くできなくなってしまうことが多いです。
破局した際どちらが引き取るかで揉めるから
うちのお客様でも、裁判にまでなった方がいらっしゃいます。
人間でいう「親権」ですね、双方が引き取りたいパターン。
ご本人達は大変ですし、引き取れなかった方はとてもつらいと思いますが、こちらは「まだ」良いと思います。
逆に、どちらも引き取りたくないパターンが最悪です。
何度も言っている「犬の一生は15年」。
- これから住む家を探さなければいけない
- 新しいパートナーを探したい
- 自分1人では面倒が見切れない
- たまには友達と旅行にだって行きたい
そんなことを考えた時に、「犬を引き取るのは自分にとって不利だ」となってしまうのでしょう。
「彼女が飼いたいって言ったから、彼氏が買ってあげた」…どちらが引き取るのでしょうね?
誰の犬なのかハッキリしていると良い理由
責任感が違います。
この先なにがあっても私が責任を持ってこの子をお世話します、ということです。
「あいつが欲しいと言ったから」とか「世話をしていたのは向こうだから」とか、誰かのせいにできません。
犬が飼いたいと思ったら、自分の意思で、自分のお金で、自分の時間を使って、そして何より自分の責任で飼ってください。
結婚も出産も破局も、犬には関係ありません。
「犬を飼わない」という選択肢
2人だけの時間を過ごせば良いんじゃないかな、と思いますが…それでもペットを飼いたい方も多いと思います。
そんな私も、動物がそばにいないと生きられない体質なのでよく分かります。
同棲カップルさんには「ライフスパンの短い動物」がペットとして最適です。ラットやハムスターなど。
悲しいですがネズミさん達の寿命は2年ほど。
15年生きる犬と比べ、その10分の1以下の寿命しかない為、その子の一生と自分の未来を照らし合わせて考えることができます。
万が一破局してもその後のお世話もさほど大変ではありません。
本当に犬出ないといけないのか?考えてみてください。
まとめ:一度冷静になってよく考えてみてください、「誰が」犬を飼いますか?
私はトリミングサロンオーナーとして、ペット業界で犬を仕事にさせていただいている者として、そして1人の犬好きとして、犬と暮らす人が増えることはとても嬉しく思います。
ですが、それは犬も飼い主も両方が幸せである場合のみです。
どちらかが我慢をしたり辛い思いをするのは悲しいですよね。
特に同棲カップルの犬トラブルは本当に多いですので、いくら盛り上がっていても軽率に犬を飼うのではなく、15年先のことまできちんと考えて、誰が責任を持つのか必ず決めてからお迎えしてくださいね!